大判例

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東京地方裁判所 昭和43年(借チ)2075号・昭43年(借チ)2092号 決定

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔決定理由〕ところが、前記認定のとおり、別紙目録(三)記載の(ロ)の建物には借家人が居住しているので、右建物は借家人の居着きのまま譲渡を命じなければならず、本件の建物および賃借権の対価を定めるに当つては、右の事情を考慮しなければならない。この点について、鑑定委員会の意見は、右借家人には借り得分はないとして、借家権価格は存しないとしているが、純粋に経済的に考えれば右のような見解も可能であるが、前記建物および土地の賃借権には借家法によつて保護されている借家人の権利が負担として附着しているものであるから、これを価格に換算して、前記の建物および土地の賃借権の価額から控除すべきである。右の価格の算定については確定的な方法はないが、本件の場合は借家人に対する立退きの補償費という点から考え、前記の二名の借家人が家主から他に同等の移転先の紹介を受けて移転するものとした場合、前記二名の借家人それぞれについて、新建物の賃料は一箇月金一万五〇〇〇円位になるものと考えられるので、少くとも、前記の別紙目録(三)記載の(ロ)の建物についての、それぞれの賃料との差額の一年分として金六万円宛、新建物賃借の敷金として三万円宛、引越運搬費として二万円宛は各借家人に補償する必要がある。もつとも前記申立外岡野からは現在敷金として金一万一、〇〇〇円が差入れられているので、これを返還する場合には同人に対する右の補償金から控除すべきことになるが、右敷金返還債務は本裁判による譲渡によつて申立人(賃貸人)が承継することになるので、申立人(賃貸人)の負担となることには変りがない。そこで右借家権価格は合計金二二万円とするのが相当である。(福嶋登)

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